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なぜか昔から「のれん」というものが好きでした。
向こう側があまり見えない感じも、風で揺れてちらり見える感じも、お店の個性が自ずと出てしまう感じも、手の甲で押し開いた時の、その布の感触も。
まるで結界のようだな、と感じる時があります。
一歩のれんをくぐると少しだけ特別な時間軸に入って行くような、何か扉とも違うその緩やかな隔たりに心惹かれていたのかもしれません。
いつかお店を開くことができたら、入り口にはのれんを下ろそうと密かに決めていました。
外観を黒色に統一することが決まり、黒色の持つ強くて頑なイメージを優しくカバーしてくれるようなのれんをイメージしました。
まるでガトーショコラにかかる粉糖のように。
今回、古民家改修棟「多きな待合室」北側入り口にかけられたのれんは、信頼を寄せる布もの作家さんにお願いしました。
常陸大宮市で針仕事をしながら雑貨屋さんを営む toiroさんは、プレーンな4色のリネンやコットンを使い、身近な暮らしの中にそっと寄り添ってくれるような布ものを制作されています。
toiroさんの店内は、制作された布もの、雑貨、古家具が静かに並び、toiroさん自ら淹れるハンドドリップコーヒーもいただけます。
今回作っていただいたのは様々な白の様々な形がつなぎ合わされた、私の大好きなtoiroさんの「白のパッチワークシリーズ」です。
toiroさん、素敵に仕立ててくださりありがとうございました。
「多きな待合室」にてtoiroさんとの企画を計画中です。楽しみにしていてくださいね。
のれんを支えているのは、昔 職人さんたちが使っていた道具を加工したもの。
この道具と出会えるまでは、これというものが見つからず、取り付けまでだいぶ時間がかかりました。
昔使われていたものが少しだけ形を変え、これからの風景を作っていく。
なんだか素敵です。
譲っていただいた職人さん、ありがとうございました。
大切に受け継ぎます。
お客さま、こののれんをくぐっていらしてくださいね。