たしかなもの
<お礼にかえて>
『いちごがほんとうにできた。』
昨年の10月、台風19号による那珂川の氾濫、堤防の決壊はこの地域に甚大な被害をもたらしました。
御前山でいちご園を営む菅野さん夫妻も、その大きな被害を受けた一人でした。
事態はとても深刻で、一人でも多くの人手が必要だったため、このHPを使ってボランティアのお願いをしたのは昨年の10/17のことでした。
わたしにできた協力はわずかではあったけど、ご協力くださった方々にこの場を借りて改めて感謝の思いお伝えしたいです。
すでに多くの方がご存知のことと思いますが、あの泥だらけだった苗はたくさんの人の手による復旧作業を経て今年も見事ないちごを実らせました。
そして今、たくさんのお客さまがお買い物やいちご狩りに行ってくださっていると2人から聞いています。
ほんとうにありがとうございます。
再生までの道のり、ぜひお二人のInstagramをご覧になってみてくださいね。
あのような事態の中であっても、お手伝いにくるひとりひとりへの心配り、笑顔。
いつも惜しみなく自分を明け広げ与え受け入れてくれる。
その実、絶え間なく続く葛藤やプレッシャーと向かい合っている。
続けるということはきれいごとばかりじゃない。
でも、それ故にふたりは人間味と愛に溢れていて、みな手を差し出さずにはいられないのだ。
地域の事業者仲間として始まった交流はいつしか自然のうちに心を通わせる友となりました。
先日、共通の友人から一編の詩が送られてきたのです。
好きな詩集を久しぶりに読み返した友人は、おひさまの2人が思い浮かんだと教えてくれました。
そう、2人はこんな人なのです。
この詩を添えて閉じたいと思います。
神様が大地と水と太陽をくれた
大地と水と太陽がりんごの木をくれた
りんごの木が真っ赤なりんごの実をくれた
そのりんごをあなたがわたしにくれた
やわらかいふたつのてのひらに包んで
まるで世界の初まりのような
朝の光といっしょに
何ひとつ言葉はなくとも
あなたは私に今日をくれた
失われることのない時をくれた
りんごをみのらせた人々のほほえみと歌をくれた
もしかすると悲しみも
私たちの上に広がる青空にひそむ
あのあてどないものに逆らって
そうしてあなたは自分でも気づかずに
あなたの魂のいちばんおいしいところを
私にくれた
谷川俊太郎「魂のいちばんおいしいところ」